こんにちは!齊藤です。
【電気は商品なのか?】
今月は、我が国の商標法下における「電気」と「商品」という2つの概念について考えてみたいと思います。商品の類否に関するセミナーなどで、よく「法上の商品とは何か」という話をさせていただいております。 実務上当たり前のように使っている「商品」とはどんな概念なのでしょうか。商標法2条には「、商標」や「使用」 といった用語の定義付けがなされておりますが「、商品」についての定義規定はありません。通説では、商品とは、 【①独立商取引性、②交換価値性、③有体物性、④流通性、⑤代替性】の全てを備えたものであるとされてお りますので、無体物である「電気・光・熱」などは、我が国では商品とは解されておりません(なお、「気体・ 液体」は有体物として扱われますので、「空気」や「水」などは商品として指定することができます)。ただし、 電気や光の有体的供給手段である「電池」や「電球」となると、これは有体物として市場に流通させることが できますので、法上の商品として扱われます。また、我が国では、長らく「音楽ファイル」や「プログラム」 などは無体物のため商品として保護せず、あくまでもプロクラムを記憶させた「記録媒体」や、音楽を録音し た「レコード」などを商品として保護してきた経緯がありますが、今は運用が変更され、無体物である音楽・ 画像ファイルそのものやプログラムそのものであっても、例外的に商品として保護されています。
話を戻しましょう。では「電気」はどうでしょうか。ニース分類上、「electrical energy(電気エネルギー)」 は第4類(燃料)に属する「商品」として例示されております。また、第4類における注釈(explanatory note)においても、しっかりと、第4類には「電気エネルギーが含まれる」と明示されています。ただ、我が 国における「商品」の解釈は上記の通りですから、願書の指定商品欄にニース表現である「電気エネルギー」 と記載しても、不明確であるとして拒絶理由の対象となります。では「電気」を他人に売る場合の商標はどの 分野で保護されるかというと、39類の「電気の供給」や「電気の配給」という「サービス(役務)」で保護さ れることになります。ただ、個人的にはちょっと納得できない部分もあります。例えば、自動車は「ガソリン」 や「LPガス」、「電気」などによりエンジンやモーターを動かして走る訳ですが、このうち、ガソリンもLPガ スも商品として認められている一方、電気だけは商品として認められておりません(あくまでも「日本では」 です)。そのため、ガソリン(商品)やガソリンの小売は認められても、電気エネルギー(商品)や電気の小 売は日本では認められないんですよね。今後、化石燃料にかわって電気エネルギーの重要性がより高まってい くことを考えれば、いつまでも日本独自の解釈にこだわらず、記録媒体へ記憶させることができる無体物たる プログラムの商品性を例外的に認めたように、蓄電媒体へ充電させることができる無体物たる電気エネルギー の商品性についても例外的に認めて良い気がしています。 電気は商品か否か。みなさんはどう思われますか?
【ラジオ出演】
真面目な話ばかりだと面白くないですから、その他の話も少々。
2月13日、6年ぶりに「ラジオ関西」へお邪魔してラジオに生出演してきました!今回は「私の愛用品」を持参して下さいということでしたので、長年の相棒であるメーニッヒ(東ドイツ)製のフレンチホルンを担いでスタジオまで行って参りました。まさか生放送で演奏させられるとは思っておらず、音出し等も何もしないままに突然「何か吹いて!」と言われてしまい、まともに音がでない中でトトロを吹くという、ちょっとした放送事故もありましたが(笑)、弁理士や知財、音楽などについて楽しくお話をさせて頂きました!
放送の様子や僕がミスりまくる様子はラジオ関西さんのウェブサイトで動画公開されております。よろしければ御覧くださいませ(あまり見せられる内容ではないのですが…)
また、番組で宣伝している演奏会はこちらになります。大阪が誇る名ホール「いずみホール」において、パイプオルガンを使ったサンサーンス3番や、ピアニストの喜多さんを招いてのリスト「死の舞踏」などを演奏します。チケットがご入用の方は齊藤までご連絡下さいね。
【楽器シャツ】
” りっちゃん” から、バレンタインのプレゼントとして手作りのシャツをもらいました!今回はなんと「楽器柄」で、ホルンもちゃんと描かれています。以前に作ってもらったスリムなシャツたちは着るのが苦しくなってきているのですが(体型の変化によるもの)、今回はそんな状況を見かねて、素敵なメッセージカードも添えられていました。はい、スリムとは言い難い体型を頑張って維持して参ります。