去る11月初旬、弊所徳永と共にアジア弁理士協会(APAA: Asian Patent Attorneys Association)の50 回記念大会@台北に参加してきました。また、大会終了後は上海を訪問致しました。
APAA では諸外国における代理人との面談の他、所属しているコピーライト委員会に出席し、日本におけるこの1年の出来事の紹介として、「フラダンス事件」(大阪地判H30.9.20)に関する発表をさせて頂きました。
今年の共通テーマは「FORTNITE(という人気ゲームがあります)におけるEMOTE(というダンスの動き)に使用される振り付けの著作物性等について」というものでしたから、舞踏の一種であるフラダンスの振り付けについて著作物性が認められたという日本の裁判例は共通テーマとも親和性が高く、興味をもって聞いてもらえたと思います。因みに、フラダンスはいわばHawaiian Traditional Dance とも言えるため、「私も実はJapanese Traditional Danceをやっているのですが、、、」と掴み部分で軽く話をしたところ、「どんなダンスをやっているの?」「特別な衣装を着て踊ったりするの?」と委員メンバーが食いついてくれて、個人的にも美味しいネタだったと感じました(笑)
【 APAA Copyright Committee】
台湾はもう何度も来ていますが、やはり料理がとても美味しいです。台湾の友人と一緒にローカル食堂へ行ったり、名物のかき氷を食べに行ったり、偶然仕事で台北に来ていた大学時代の日本の友人と深夜に魯肉飯を食べに行ったり、、、日台の友人らのお陰でディープな台湾を満喫することができました! Excursion day には、会議に参加している各国代理人らと共に、東の宜蘭(Yilan)へ出向き、台湾が誇るウイスキーブランド・KAVALAN の蒸留所を訪問してきました。
【台湾の朝ごはんの代名詞、豆漿(左上の豆乳スープ)】
【定番のマンゴーかき氷と、変わり種のタピオカミルクティかき氷】
【禁断の旨さ、魯肉飯】
【台湾が誇るウイスキーKAVALAN@Yilan】
【各国の代理人らとテイスティング】
APAA を終え、次はマカオ経由で上海を訪れました。いつものごとく、トランジットはぎりぎりの綱渡り…。
今回は台湾での出発が遅れ、マカオでは実質40 分程の乗り換え時間しかなく、さすがに焦りました(マカオは小さい空港ですから助かりました)。
初日の上海はとても空気が悪くてどんよりとガスっていましたが、2日目・3日目は好天に恵まれました。気温は大阪とちょうど同じくらい。雪が降っている北京と異なり、とても快適です。上海では地元の代理人事務所を訪問して意見交換をしておりますが、なんというか上海人は気質も大阪人と似ていて、実にopen-hearted な感じで話がし易いです。
話題としてはやはり11 月から施行された中国の改正商標法がメインでしたが、私からは他に少々気になった点を記載しておきますね。
まず、中国における同意書について。こちらは従前の認識だと「商標局の審査段階では見てもらえないが、審判段階(@評審委員会)では見てもらえる。ただし、商標の類似性が相当高いと同意書があっても拒絶となる可能性がある」というものだったと思いますが、最近はそこまで類似性が高いとは思えない事案で同意書を提出しても審判段階で拒絶されるケースが結構出てきているようで、せっかく費用をかけて同意書をとっても無駄になってしまうということにもなりかねません。もちろん、同意書が有効かどうかは、中国代理人と相談しながら案件毎にアドバイスをさせて頂いておりますが、「審判で同意書を出せばどうにかなるよね」という過去の認識は少々改める必要があるかと思います。
あとは、不使用取消審判について。こちらも従前であれば「不使用をかけても、使用証拠を偽造してくるだろうから日本に比べて使い勝手はイマイチだよね」というニュアンスで有効性を否定するような話も耳にされたことがあるかと思いますが、現時点では先行商標に対する最もコスパの高い手段として、どの代理人も不使用取消審判を強く勧めるに至っております。理由としては、悪意ある出願は結構な確率でダミー会社等によって行われているため、取消審判の請求書が商標権者に届かずにスッと取り消しになる事案も少なくないことや、悪意ある出願を行った者が頑張ってその商標を守ったところで改正法下では結局無効となってしまうことが考えられること、等々から、ネットでざっと使用調査をしてみて使っていなさそうであったり、会社の実在が疑われるような事案であったりする場合は、今まで以上に積極的に不使用取消審判をかけに行っても良いかもしれません。もちろん、今でも証拠を偽造してくる者はおりますが、こちらも事案に応じて取消審判の有効性をアドバイスさせていただきますので、お困りの際にはお気軽にご相談下さい。
また、今まででしたら、悪意ある先行商標に対して無効審判をかけても、中国国内における販売実績がある程度なければ勝ち切ることは難しかったところ、最近では(やはり改正法の影響が大きいものの、改正法が施行される前から既に)、出願人が他人の商標を複数出願していることをキッチリと証明することによって無効にできる事案も増えてきております。また、現地代理店などが悪意をもって勝手に商標を出願して商標を返却しないような場合も、以前に比べると、その関係性をしっかりと立証することによって無効にし易くなりつつあります。冒認出願に悩まされ続けてきた企業にとっては朗報ですね。
このような形でなかなかの「曲者」だった中国の商標実務も日々変化してきております。また随時新しい情報など入りましたらご報告させて頂きますね。
さて、最後に。萌(娘6 歳)がたくさんの「おちょねこ」を発見しました。まずは現場の写真を御覧ください。
かわいいデザインの工事フェンスですが…おわかり頂けましたでしょうか?正解はこちら↓
ね、すごく似ているでしょう?個人的にすごくツボってホッコリしました(^^)
【おまけ】上海でみつけた、口のついたキティちゃんっぽい何か。